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2010年8月12日

歌人の河野裕子さんが亡くなられました。

たとへば君 ガサッと落葉すくふように私をさらつて行つてはくれぬか 河野裕子「森のように獣のように」(1972)
きみに逢う以前のぼくに遭いたくて海へのバスに揺られていたり 永田和宏「メビウスの地平」(1975)

河野裕子さんは2000年に乳がんの手術を受けましたが、2008年夏に転移が見つかりました。
2008年11月に第13歌集『母系』を出版し、読売新聞にインタビュー記事が掲載されました。

病むまへの身体が欲しい 雨あがりの土の匂ひしてゐた女のからだ

「60兆の細胞の一つが気まぐれを起こしたんかな……アハハ。きれいごとは言いたくありません。でも、今が一番幸せ。若いころの夫は目がきれいで、影がありました。私の病気で、永田さんは優しくならはった」

ほんとうのさびしさはこれから本気でやってくる二人の卓を夕日が占めて 永田和宏「日和」(2009)
影踏みて歩みゆくうちずずずずずとわが身の中心がずれてゆくなり 河野裕子「葦舟」(2009)

夫の永田和宏さんは、歌人で細胞生物学者です。6月に日経新聞のプロムナード欄へ寄せたエッセイでは、

一日が過ぎれば一日減つてゆく君との時間もうすぐ夏至だ

「転移・再発がどういう状況を意味するのかは、癌に関わる研究をしていた私には、誰に言われなくともよくわかる。にわかに妻との時間が抜き差しならない切実なものとして、心を占め始めた。一日一日をできるだけ一緒に楽しく過ごしたいと願う。しかし、楽しければ楽しいだけ、そのことによって減っていく時間はいっそう切実に惜しまれるのである。」
「配偶者や家族が自分にとってなにより大切な切実な存在であるのは、これまでに、ほかの誰のものでもない自分たちだけの時間を共有してきたことによるのだろう。共有してきた時間は、二人で話題にしてこそ意味がある。確かに思い出すことのできる時間の記憶を、もはや誰とも共有することのできなくなる寂しさは、想像がつかない。」

河野裕子さんは夫の永田和宏さん、長男の淳さん、長女の紅さんとともに、産経新聞で歌人一家リレーエッセー「お茶にしようか」を連載していました。

相槌を打つ声のなきこの家に気難しくも老いてゆくのか 永田和宏(7月31日付 産経夕刊)
聴診を受くるは何年ぶりのこと胸と背中をゆつくり滑る 河野裕子(8月7日付 産経夕刊)

ご冥福をお祈りします。
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関西在住。平日は北陸方面で単身赴任中。
息子は、父の影響で大の鉄道好き。
用事が無くても電車に乗る。

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