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their secrets

先週、ほきいぬさんのブログで紹介されていた、東野圭吾作『秘密』。

東野圭吾氏の小説、昔は良く読みました。私と同じく理系の工学者であることから、氏の文章は読みやすいものでした。しかしながら、初期の作品を読む限り、心を揺さぶる表現力に乏しいことや、主題に関係の無い余計な記述が多く挟まっていること等、描写の拙さが目につき、氏の作品は次第に読まないようになっていました。


『秘密』は、スキーバスの事故により妻・直子の肉体と11才の娘・藻奈美の精神が亡くなり、残された藻奈美の肉体に直子の精神が宿るというものです。

序盤の描写は緊迫感があり、これを公共交通機関のなかで読んでいた私は、感情を移入してしまって、少し恥かしい思いをしました。
東野先生、侮ってました。ごめんなさい。

私は、娯楽小説としてのこの小説を読んでいて、どのようなどんでん返しが用意されているのか、筋書きの可能性を考えていました。
事故に合ったのは平介で、誰かの肉体に平介が乗り移ったのが主人公だとか、運転手がどこかで生きているとか、犯人は会社側だったとか。
結末は、想定の範囲に収まっていました。

肉体の喪失は、ほんとに切なく悲しいものです。
本書では、そのことに対する苦悩と、乗り越えるための許しや愛が随所にありました。

直子の決意した最後の秘密は、夫・平介と娘・藻奈美、それぞれへの愛なのだと思うのです。
事故の前後で、妻から夫、夫から妻への愛は変わることありません。
平介は直子に対していくつかの秘密を持ちますが、人の善い平介の秘密は直子にちょんばれです。平介からの愛も感じるだけに、直子は全てを受容し、気付かぬ振りを貫きます。犯罪行為までも許し、自分の肉体の無いことを悔むだけです。また、母親から娘に対する愛、こちらは男には太刀打ちできるものではありません。

小説の最後で、平介は直子の秘密に気付きました。
気付いて良かったと思います。9年掛かったのは長いものでも短いものでもなく、生きているうちに気付くかそうでないかが重要だと思うのです。愛を気付くことによって、直子への愛が永遠のものになり、自分の仕事の後継者や、幸薄い素直な少女や、今後生まれるであろう血のつながりだけではない孫は、かけがえの無い肉親として愛することができるのです。

読了して、靴下の中にメモを入れるところ、私はこういうおちゃめさが大好きです。


あまりにも現実離れした物語の進行。
それは、筆者が筋書きをすべて知っていてその通りに筆を進めるため、登場人物は相手の心が読める超能力者ばかりになってしまっているためです。
東野氏は、大学で電気工学を学んだだけあって、仮説の証明に一般性・再現性を求める傾向があるようです。

あまりにも、昭和のにおいのラストw。
彼の小説を読んだ後はいつも、宮部みゆき氏の小説を読みたくなってしまいます。
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関西在住。平日は北陸方面で単身赴任中。
息子は、父の影響で大の鉄道好き。
用事が無くても電車に乗る。

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