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鉄道事故報告書

昨日昼、JR西日本 福知山線列車脱線事故調査報告書がweb上で公開されているのに気付いた。
本日、読んでみた。

報告書冒頭で、「本調査は事故の原因究明と再発防止を目的とし、責任を問うために行われたものではない」との断り書きがある。

さらに1枚、報告書をめくると、事故調査委員会の委員名が書いてある。
ほぼ全員が工学者であり、楠木行雄先生が法律学、首藤由紀先生が人間科学がご専門である。
2月の意見徴収会の段階で委員だった垣本由紀子先生(応用心理学)は外れ、代わりに首藤先生が委員に就任したようだ。


さて、本文は変なものであった。

T運転士および当該車両の当日の動きは、下記のとおり。
放出派出所(6:48)-放出駅-(回218S)-松井山手駅-(5769M)-京橋駅-(4469M)-尼崎駅-(回4469M)-宝塚駅-(5418M)-《事故地点》(9:19)
早朝から事故発生まで、T運転士が当該の事故車両を運転している。


報告書の記述から、T運転士の異常行動のクロノロジーを簡単にまとめてみた。
1.8:23 加島駅手前の250r直前で、ATS-Pの曲線速照機能による最大ブレーキが作動。
2.8:30 尼崎駅停車中のT運転士個人携帯宛に、メールが送信される。
3.8:46~ 川西池田駅-中山寺駅間で、進行信号にも関わらず時には10km/hを下回るほどの低速で走行。
4.8:54 宝塚駅手前分岐器の制限40km/hのところを65km/hで進入し、ATS-SW(ロング)による非常ブレーキ作動。輸送司令員に連絡せずにATS復帰。
5.8:56 宝塚駅停車時、ATS-SWの誤出発防止地上子からの信号による非常ブレーキ作動。停止後2秒後にATS復帰。
6.8:56~ 駅到着後、約2分50秒の間、運転室内にいた(通常は1分程度)。この間、T運転士個人携帯宛にメールが送信される。
7.9:11 川西池田駅を定刻より約35秒遅れで発車。
8.9:15 伊丹駅到着時、P停車ボイス機能を無視し、ブレーキ操作の遅れにより72mオーバーラン。後退を開始(最大16km/hまで加速)。約68秒遅れで伊丹駅停車。
9.9:16 定刻より約80秒遅れで伊丹駅発車。
(車掌は司令員に8m、1分半遅れと報告)
10.9:19 ブレーキ操作の遅れにより、制限速度70km/h(現在は60km/h)の事故現場の右曲線に速度約116km/hで進入。脱線。

報告書では、これらの事象のうち、1.~7.をそれぞれを個別に原因を推定し、8.に関して車掌と輸送指令員との交信に気をとられるとともに、日勤教育の言い訳を考えていたこと等からブレーキ操作が遅れ、カーブ通過時の速度超過により脱線したものと結論付けた。

上記のうち、5.については4.の停車位置と時間との関連から不可抗力なのかもしれない。しかしながら、ATSを勝手に復帰することは規則違反である。

ここで、1,3,4,5,6の事象は、運転士は良く起こすものなのだろうか。
T運転士本人にしても、前日までおよび当日の加島駅手前までは、滅多にエラーすることはなかったであろう。他の多くの運転士にしてもなおさらだ。そう考えると、これらの事象はそれぞれが独立したものと考えるべきではなく、共通の要因または、最初のエラーが尾を引いているとする方が自然ではないだろうか。
素人はそう思う。


委員の首藤由紀先生(株式会社社会安全研究所) がパネラーとなった討論を傍聴したことがある。米国では定着している根本原因解析(RCA)の日本版を構築するに当たって、根本の原因は一つではないと仰っていたのが印象的であった。
首藤先生も、2月以降の委員就任であり、ご経験に基づいた明解な分析を行うまでの検討は出来なかったのであろう。
福知山線事故の原因究明に関して、行動心理学の専門家の意見をもっと聞き、反映させるべきではなかったのであろうか。
委員構成を見ると大半が工学者で、明らかに不自然に感じる。

ヒューマンエラーは、防止することはできない。
仮に、私が疑問を抱いたような他の原因があって、それがわかったところで、それを再発防止に結びつけることはできない。
しかしながら、多くの事故等を分析し、共通要因や、効果的な教育訓練の検討を試行錯誤で進めていかない限り、ヒューマンファクターの検討に未来は無い。
その先に企業の文化がある。

JR西は、ヒューマンエラーは防止することはできないという事を知った上で、ヒューマンエラーを起こした者に対して、教育の名を借りて人格を否定した日勤教育を行い、役員自ら肯定していた。
それが今回否定されたわけだ。


私は、趣味として鉄道が大好きであり、鉄道会社を何時も応援している。

JR福知山線(宝塚線)は、120km/h出すことが出来る線区でありながら、最高速度を95km/hとしている日本一安全な路線であり、良く利用している。

このような悪い冗談を言わなくてすむような会社運営をお願いしたい。

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JR西 事故調最終報告書

JR西福知山線事故の最終報告書が出た。
全文はまだ公開されていないようなので、現時点(6/29朝)における感想のみ簡単に記す。

根本原因をブレーキ操作遅れとし、背景要員を日勤教育としたことについて、昨年末の報告書案とは変わっていない。
2月に開催された意見徴収会や、遺族や負傷者等の意見がどのように反映されたかも、本文の公開を待ちたい。

ただ、マスコミによるT運転手の刑事責任追及の話には、疑問がある。

当日のT氏の、東西線加島駅手前のATS-P作動に始まる一連の行動に異常があるのは明らかである。
その背景の調査はどこまで行われたのか。
前夜のメールの相手と内容、当日宝塚駅到着時のメール。

あのような一連の行動をとる乗務員は、日本の鉄道史上現れることはないだろう。従って、その観点からの原因究明、再発防止は必要なく、個人の情報まで踏み込んだ調査はすべきではない。

しかしながら、加島駅から宝塚駅、伊丹駅を経由して事故地点に至るまでの間、異常行動が断続的に起こっていたにもかかわらず、原因を「日勤教育のことが頭をよぎりブレーキが遅れた」とするのには無理があるのではないか。

T氏の精神状態の異常、会社が察知できなかったのは不可抗力、被疑者死亡により書類送検。

T氏を犯人として、第2のT氏を防ぐ必要性があると考えるのであれば、もう少し踏み込んだ調査が必要なのかもしれない。
私はT氏も被害者だと思う。なぜなら、当該カーブは105km/hでも転覆するとは思っていなかったであろうから。

このような観点で、報告書の公開を待ちたい。

JR西事故考

新しい客人のご訪問があった。しかも、”鉄ちゃん” だと聞く。
本日は、歓迎の意味で、鉄道の話題であるが、少し重い。

ここで、冗談を言おう。
「私のブログの記事が本になった。」

2年前のJR西日本列車脱線事故については、多くの書籍が刊行されている。
先日、大手書店の鉄道書コーナーにおいて、1冊の本と巡り会った。

山口栄一著:「JR福知山線事故の本質─企業の社会的責任を科学から捉える」
(NTT出版、2007年6月)

著者は、同志社大大学院ビジネス研究科の教授であり、独自の科学的な観点から分析して福知山線事故の本質に迫るとともに、本では瀕死の重傷から奇跡的に救出され社会復帰に挑む、女性の手記を交えてある。
立ち読みしていて涙が止まらなかった。(買わなかったのかよ)

なぜ、買わなかったかというと、著者の分析が、私のブログにおける5月5日の私の拙文のベースとなる論点と、あまりにも類似していたのである。
本書の発売は、5月31日であり、模倣したわけではない。
結論となる部分は、私は「日勤教育」とし、著者はCSR(企業の社会的責任)政策の重要性に1つの章を充てていて、そこに相違がある。

しかしながら、学術的な観点から、少数意見とされながら同じ考えを持つ人がいたことで、私は嬉しかった。しかも、先方は大先生である。


事故調の最終報告書は、今月中目途に発表されるようだ。


山口栄一氏は、とある寄稿のなかで、森有正氏の言葉を引用している。
ここにも添えておきたい。

人間が軽薄である限り、何をしても、何を書いても、どんな立派に見える仕事を完成しても、どんなに立派に見える人間になっても、それは虚偽にすぎないのだ。その人は水の枯れた泉のようなもので、そこからは光の波も射し出さず、他の光の波と交錯して、美しい輝きを発することもないのだ。
(「バビロンの流れのほとりにて」より)

JR西 鉄道安全報告書

JR西日本の2006年度の「鉄道安全報告書」が6月1日に公表され、6月4日に同社web上に公開された。
福知山線事故を受けて昨年10月に鉄道事業法が改正され、鉄道事業者は、事業年度終了の6ヶ月以内毎に「安全報告書」を公表する事が義務づけられた。記載内容は、輸送の安全を確保するために講じた措置及び講じようとする措置、安全基本方針、安全管理体制、事故等の状況と再発防止対策等とされている。
読めば、安全を最優先とする企業風土の構築にむけて、多くの取り組みを行っていることがわかる。
たとえば、余裕のある列車ダイヤへの見直しとして、改正後は新快速の定時運転率が20~30ポイント上昇していることが示されている。
私が感じた運転員の良い意味での変化も、数字を見て肯けるものがある。

福知山線事故の事故調最終報告書は未だ出てこない。
今回の「鉄道安全報告書」は2006年度版であり、ATSの計画的な整備等は国交省の指示文書に基づき反映されているが、事故調査委員会の勧告等は、当然、重点40項目のなかに具体化されていない。
ヒューマンファクターへの取り組みをどうすれば良いかは、JR西は試行錯誤の域を出ておらず、日勤教育(ヒューマンエラーを起こした運転員等の再教育)については一言も触れられていない。

安全は砂上の楼閣であり、日々、社員全員が考え、行動し、育み続ける必要があり、安全第一の企業風土を目指すことはとても良いことである。
鉄道員は、大きな夢を持ち入社し、お客様の喜ぶ顔を見て勇気を得て仕事に取り組む、いつまでも夢を持ち続ける、こういったことが大切なのではないか。
最低限のスキルを持続させるのも必要であるが、教育に当たっては、効果のある方法、負の効果の少ない方法が望まれる。
人は、人から誉められたり、人から望まれていることを教えられたりした時、驚くほど伸びることがある。仲良しクラブを目指す必要はないが、明るい、元気な、風通しの良い職場とするために、どういう社員教育をしてゆけば良いか、管理職がどう行動すれば良いか、JR西にはぜひとも熟考していただきたい。

2007年度のJR西「鉄道安全報告書」に期待したいものだ。

福知山線列車脱線事故

東西線加島駅手前250RにおけるATS-P作動からすべてが始まったのか。


JR福知山線事故から2年余経つ。事故調の最終報告書案と2月1日開催の意見聴取会議事録を読んだ。

事故発生当初、転覆限界速度は133km/h(207系)と発表され、京橋電車区の運転士へのアンケートでも90~150km/hと認識していたとされている(なお、クハ207、93名乗車、列車動揺有りで、転覆限界速度は106km/h)。すなわち、運転士は、制限70km/h(現在は60km/h)の右カーブに116km/hで入ったとき、自分の列車が転覆するとは夢にも思わず、常用ブレーキによる減速を試み、また、直前に停止した伊丹駅でブレーキ操作が遅れて72mオーバーランしたことから見ても解るように、日勤教育-回復運転のことが頭の中を支配していた蓋然性が高いと考える。

ひとつ気になったのが曲線における制限速度の算出方法であるが、安全率をこれまでの経験から適切に選定するのは良いとして、例えば振り子列車の場合、+15~35km/hとなるが、車両の重心は低いものの、カーブでは重心が外に移動し、それがどの程度考慮されるのか。また、事故経験が無い新幹線車両の曲線通過性能は安心出来るものなのか、私にはわからない。

事故以降、JR西は回復運転(遅延時分を取り戻すための運転)は行っていないようである。(新快速の京都以東は制限速度での回復が可能?)
また、JR福知山線(宝塚線)は、制限速度の見直し(120→95km/h)と駅停車時間の延長でダイヤ改正を行ったが、駅間基準運転時分は従前通り余裕が極めて少ない。運転曲線の策定に旧性能車両を使っているという話もあるが、実際に乗っていると、駅を発車しフルノッチで加速し、94km/hに到達後惰行、黄色い減速札でブレーキを一気にB5とし(東海道線の場合B6)、その後調節して駅に停車する。晴天時にこのギリギリ運転で定着である。さらに、専門的なことはよくわからないが、最新に登場した321系は電気/機械ブレーキのバランスが極めて悪く、一気B5(B6)の影響か、半数程度の車両の機械ブレーキ音が極めて大きい(調整が大変なのではないか?)。私は、一気ブレーキ時の前方につんのめる乗り心地と停車時の騒音に不快感を感じている。もっと乗客、車両を可愛がった運転を心がけて欲しい。
JR西の軌道保守の技術力は、グループ内でもトップクラスであると感じている。保線、車両保守、運転の技術力に立脚した安全第一の企業風土を築き上げてもらいたいものである。

JR西はヒューマンエラーを起こした乗務員に日勤教育を実施する方針を見直していない。具体的には、ギリギリに設定した運転時分を品質管理目標とし、そこからの乖離によりヒヤリハット報告による事故の芽摘み制度の適用と、程度によって再教育という名の日勤教育を受けさせることとなる。
並行して走っている阪急電鉄の場合、梅田行きの宝塚線で例えば十三駅で90秒程度の延着があったとしても、次の梅田駅までの間で制限速度内の通常の運転で、梅田駅定着が可能な運行計画となっている。また、ブレーキ操作も一段ずつゆっくりである。

意見聴取会において、国鉄労働組合西日本本部書記長の葭岡氏が、本事故は、「運転士として業務に従事している者なら、だれでも起こしたかもしれない状況、環境にあった」と言っている。
私は、亡くなった運転士の心理、精神状態に興味はない。むしろ、彼は被害者なのであろう。

JR西は、回復運転をしないとするのは当然であるが、もっと余裕のあるダイヤとすべきと考える。また、本事故の根本原因は日勤教育にあり、再教育の制度は全廃すべきと切に思う。
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関西在住。平日は北陸方面で単身赴任中。
息子は、父の影響で大の鉄道好き。
用事が無くても電車に乗る。

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